第220章 こんなに厚かましい人は見たことがない

救急処置室の外で、皆が南雲玲奈の戻りを待っていた。

けれど誰も気づいていない。少し離れた場所から、こちらをじっと見ている視線があることに。

横尾浅子は壁際の隅に立ち、眉間に深い皺を刻んでいた。

今日は心臓の診察で来ている。

前回、中島美奈が外で恥をかいたあの日以来、浅子は何日も社交の場に顔を出せなかった。

外へ出れば、あの連中が寄ってたかって笑う。そんな光景が目に浮かぶ。

だからこそ、今日は珍しく友人と約束を取りつけ、美容のついでに外へ出た――はずだった。

なのに運が悪い。

またしても、界隈の顔見知りに遭遇してしまった。

数人の貴婦人が浅子を見つけるなり、にこやかに近づいて...

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